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レポート・コラム

外航貨物海上保険の基本のキ

2024/08/19

効率的にビジネスへ安心を!外航貨物海上保険の包括予定保険(Open Policy)の魅力(外航貨物海上保険の基本のキ#1)

当社は、外航貨物海上保険の年間約9万件の保険証券発行、約4千件の保険求償対応を行う保険代理店 です。
そんな得意分野の外航貨物海上保険の周辺知識について、シリーズで解説していきます。
初回は、包括予定保険(Open Policy)についてご説明します!

Firefly 天気の良い日に、大きな港からコンテナをたくさん積んだ新しい貨物船が出発する様子 14726.jpg

Open Policyとは
メリット
注意点


Open Policyとは

外航貨物海上保険の包括予定保険(Open Policy)は、貨物を運送する際の保険の契約方式の一つです。
この契約方式では、特定の貨物や積み荷ごとに個別に保険契約を結ぶ必要がなく、将来に向かって、全貨物あるいは特定の貨物を包含した保険契約を結んでおくことができます。特に、輸入貨物や三国間輸送貨物の場合、本邦所在の保険契約者のところに、本船名や貨物の数量・価額や船積日など、保険申込に必要な情報が届いた時には、既に本船が出航しリスクが開始してしまっているという事態がよく発生するため、必要な契約方式であると考えられています。

包括予定保険(Open Policy)と反対に、個別予定保険というものがあります。
個別予定保険は、補償範囲を特定のアイテムに合わせて決めるため、定型的な輸送実態がなく、価額や輸送手段・経路などが毎回独自であることが多い高価なジュエリーや美術品や動物園の展示動物などの輸送によく用いられます。一方、輸送開始までに、保険条件などを確定して予定保険を締結する必要があるため、手続きが煩雑で急ぎになることがあります。(別途、保険料後払いの取決めをしておけば、個別予定保険でも、保険料は確定申込の翌月払にすることができます。)

尚、包括予定保険(Open Policy)の中に、後払い条項が予めはいっており、別途保険料後払いの取決めをしなくとも、保険料は確定申込の翌月払いとなり、煩雑さを減らすことができます。

ここからは包括予定保険(Open Policy)を解説していきます。
一般的に、包括予定保険(Open Policy)では以下のような要件や条件が取り決められます。

1. 保険金額
毎回保険金額を指定するのではなく、インボイス価額の110%というように、一定の基準に基づいて、あらかじめ保険金額が定められます。
輸送開始後の貨物の相場価格急騰など、あらかじめ取り決めた基準に基づく保険金額を超える損害が発生した場合、その差額は保険の対象外となるため、保険金額決定の基準を取り決める際には注意が必要です。
また、包括予定保険(Open Policy)中の支払限度額条項で規定されている支払限度額を超える損害も、保険の対象外となるため、巨額輸送が発生する場合には予め注意する必要があります。

2. 補償範囲
外航貨物海上保険は、国際貿易取引に伴う貨物の輸送中に生じた偶然な事故による貨物自体の物理的な損害を補償する保険です。
現在では、ほとんどの貨物はオールリスクで補償されることが多いですが、オールリスクであっても、遅延による損害や、外来・偶然の事故によらない自然の劣化・腐敗・錆・変色・化学変化、通常の輸送過程を外れた保管・検品中の損害等、補償されない損害があります。
また、貨物損害が発生した際の廃棄費用や検査費用(保険会社の支払保険金査定のための検査費用を除く)等も、特約がなければ原則として補償の対象外となります。

3. 保険料
包括予定保険(Open Policy)における保険料は、通常、保険金額に予め取り決めた保険料率を適用して算出されます。
保険料率は、貨物の性質や価値、補償内容等、保険会社のルールに基づいて決められます。
保険契約時に保険料が確定しているため、コスト管理にも役立ちます。
ただし、輸送区間に紛争地域が含まれる場合や、老齢船に積載される場合など、割増保険料がかかって、予め想定された保険料コストを上回ることがあります。

次に、包括予定保険(Open Policy)のメリットと注意点を解説します。

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メリット

1. 効率的な契約管理
貨物ごとに個別な保険契約を結ぶ必要がなく、あらかじめ定められた条件で保険契約を結んでおくことができます。
これにより、個々の運送ごとに契約書を作成する手間が省けるため、契約管理の効率化が図れます。

2. 煩雑な契約交渉の回避
毎回の運送ごとに契約の条件を交渉する必要がないため、時間や労力を節約することができます。
あらかじめ取り決められた条件に基づいて保険が適用されるため、追加の交渉や合意形成の手間が不要です。

3. 事務ミスリスクの軽減(付保漏れ防止)
保険会社と約定した貨物に関してはすべてその保険会社に申込みをするという前提で、保険期間開始前に保険料を支払う必要がありません。また、確定申込は必要なものの、自動的な補償が行われるため、付保漏れがあっても遡って補償することが可能です。事務処理ミスによる付保漏れを防ぐことができます。

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注意点

1.保険の適用範囲の限定
保険契約書に明記された条件や除外条項によって、特定の事案や貨物や貿易売買条件などに保険が適用されない場合があります。
契約内容を確認し、適用範囲に注意する必要があります。

2. 保険金支払い手続の個別性
包括予定保険(Open Policy)を締結していても、保険金支払手続は、保険会社や鑑定人(Marine Cargo Damage Surveyor)の判断に従い、必要書類や証憑など、個別事案ごとの対応となります。定型的な損害が繰返し発生することが予想される場合、別途、保険金請求手続に関する取決め(Claims Procedure)を、保険会社との間で締結することがあります。

3. 1輸送ごとに保険を付保するかどうかの判断ができない
保険条件・保険料率を決めてしまえば、個別申込は必要なものの自動的な補償が行われるため、保険条件に指定した貨物については、輸送ごとに保険を付保する、付保しないを選択することができません。

「外航貨物海上保険の基本のキ」シリーズ第一弾として、包括予定保険(Open Policy)を解説しました。
包括予定保険(Open Policy)は、効率的で簡便な保険契約管理の方法であり、適切に利用することでビジネスのリスクを軽減することができます。
是非、国際物流ビジネスのある企業の皆様はご活用ください!

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