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レポート・コラム

外航貨物海上保険の基本のキ

2024/09/17

台風シーズン到来!水濡れ被害から貨物を守る(外航貨物海上保険の基本のキ#2)

当社は、外航貨物海上保険の年間約9万件の保険証券取扱い、約4千件の保険金請求手続きのサポートを行う保険代理店です。
そんな得意分野の外航貨物海上保険や周辺知識について、シリーズで解説していきます。

今回は、台風による貨物の被害に対する補償に焦点をあて、外航貨物海上保険について解説します!

Firefly 雨の中、港に向かって進んでいる貨物船 10239_2③.jpg

夏から秋にかけて、台風やゲリラ豪雨による貨物への被害が増えてきます。
2018年に関西地域を中心に猛威を振るった台風21号発生の際には、輸送予定の食品や鉄鋼製品等が、関西空港や神戸港等で保管中に、コンテナが冠水や浸水し、貨物が水濡れをしました。
外航貨物海上保険に加入する当社のお客様だけでも、何億円もの被害が発生し、保険金請求手続のサポートをしました。
2018年以外にも、毎年台風やゲリラ豪雨による貨物の水濡れ被害は発生し、貨物の輸出入において、大きな脅威となっています。

まずは、外航貨物海上保険について解説をします。


外航貨物海上保険とは
1.基本的な保険条件
2.保険期間
3.特約


 

外航貨物海上保険は、国際貿易取引に伴って、日本と外国間または外国相互間(それに付随する国内輸送を含みます。)を船舶・航空機等で輸送される貨物が、海上・航空輸送中に遭遇する火災、爆発、船舶またははしけの座礁・乗揚・沈没または転覆、盗難、破損等の偶然な事故によって生じた損害を補償する保険です。

貨物の輸送中に発生する損害や事故に備え、また貨物所有者や船会社などの関係者を保護する役割を持つ共同海損制度に伴い被保険者の負担すべき分担額が発生する場合は、その費用も補償します。

次に、台風やゲリラ豪雨による貨物への被害を補償するために、保険を見直すポイントや注意点を解説します。

1.基本的な保険条件

基本的な保険条件に、海上輸送用のICC(A)、(B)、(C)および航空機輸送用のICC(AIR)の4種類があります。
海上輸送用のICC(B)と海上輸送用のICC(C)の場合、特約を付帯していない場合、補償が限定的であったり、補償されないことがあります。

海上輸送用のICC(A)

一番補償範囲が広く、強風に吹き飛ばされたことによる貨物の破損や、台風や豪雨による貨物の水濡れを補償します。

海上輸送用のICC(B)

台風で洪水や高潮が発生し、輸送船舶や保管場所が浸水し、貨物が水濡れした場合は補償されますが、強風により屋根が飛び、貨物に水濡れが発生した場合は補償できません。

海上輸送用のICC(C)

補償内容がICC(A)とICC(B)と比べ限定的であり、台風やゲリラ豪雨による貨物への被害は補償できません。

航空機輸送用のICC(AIR)

オールリスク補償のため、台風やゲリラ豪雨による貨物への被害は補償します。

 

2.保険期間

外航貨物海上保険の保険期間は、基本的に輸出地の工場・倉庫搬出時~輸入地の最終倉庫荷卸し時までとなります。
そのため、輸入後、倉庫での保管(通関手続待ちやトラック待ち等の一時的滞留を除きます)・仕分・分配作業が行われた場合は、外航貨物海上保険の補償対象外となるため、火災保険や運送保険を別途手配する必要があります。
火災保険では、指定した倉庫での商品・製品の保管中を補償しますが、輸送中や指定した倉庫以外での保管は保険の対象外です。
運送保険では、日本国内の輸送中・保管中・加工中・設置作業中等、物流に合わせて切れ目のない補償が可能なため、外航貨物海上保険と組み合わせて手配するのがおすすめです。

尚、商社が国内メーカーから仕入れて輸出する場合、危険負担開始ポイントを確認するのはとても大切です。商社に危険負担が移転するのが、船舶に貨物を積み込む時であれば、荷積みまでは国内メーカーの責任となり、保険期間は船舶への積み込み時からの開始となります。
国内メーカーが運送保険を手配しているか確認しましょう。

 

3.特約

貨物に被害が発生した際には、貨物自体の損害だけでなく、緊急対応したことによる追加費用が発生します。
追加費用は、特約を付帯することで、補償することも可能なため、見直しください。

● 廃棄費用特約

貨物に損害が発生した際に、貨物の廃棄に必要な費用を補償します。

● 急送費用特約

貨物に損害が発生した際に、船便ではなく航空輸送が必要となった場合、航空運賃と船便の運賃の差額も補償します。

● 検査費用担保特約

貨物の損害の有無を確認するために必要となった検査に関連した費用を補償します。
保険金支払のために、保険会社が実施する検査の費用は、特約を付帯せずに、お支払いが可能です。
しかし、検査の結果、損害が確認できない場合や、保険の支払い対象の事故ではない場合など、この特約を付帯していないと、自己負担となるケースがあります。

 

保険の内容を見直すだけでなく、そもそも損害を発生させないように未然に防ぐことはとても大切です。損害防止対策の例をご紹介します。

① ハザードマップの確認

自治体などが作成・公表しているハザードマップで、保管場所が危険な地域に該当しないかを確認します。
国土交通省 ハザードマップポータルサイト

② 保管場所の変更検討

ハザードマップや気象情報等を確認し、保管場所が危険な地域にある場合は、保管場所の変更を検討します。

③ 輸出貨物の出庫調整

港の倉庫や上屋への貨物の出庫を調整します。

④ 迅速な受渡し

貨物が長期間滞留しないように、コンテナ・ヤードでの保管期間を短くし、迅速に受け渡します。

万が一の際に、外航貨物海上保険がきちんと活用できるように補償内容を見直すことも重要ですが、損害防止対策もとても重要です。
 是非、損害防止対策や現在の保険内容についてお悩みの方は、お気軽にお問合せよりご相談ください!

 

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三井住友海上 B24-100531 2024年9月


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